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Debian リファレンス
第 3 章 - Debian システムインストールのヒント


Debian のインストール用の公式文書は http://www.debian.org/releases/stable/http://www.debian.org/releases/stable/installmanual にあります。

開発版は http://www.debian.org/releases/testing/http://www.debian.org/releases/testing/installmanual にあります。(作業中であり、時々なくなります。)

本章は当初 Potato のインストーラの時代に書かれましたが、内容のほとんどは Woody のインストーラ用に更新されており、さらに 2 つのインストーラの内容は非常に 似通っています。Sarge は完全に新たなインストーラを用いるため、Sarge の インストーラのためには、本文書は基準点として使用してください。 また、いくつかのパッケージは名前と優先度が変更されています。 例えば、Sarge の標準の MTA は exim ではなく exim4 であり、coreutils が 複数のパッケージを置き換えるために導入されています。 行動を調整する必要があるかもしれません。


3.1 一般的な Linux システムのインストールヒント

Debian インストーラのコンパクトな CD イメージを探している場合は http://www.debian.org/CD/netinst/ を忘れずにチェックしてください。

Debian の testing 又は unstable ディストリビューション を使うことは、深刻なバグに直面するリスクを増大させます。このリスクは Debian のより安定なディストリビューションとのマルチブートを行ったり、 chroot, 第 8.6.35 節 に記述されているより安定なディストリビューション内で chroot することにより供給される素晴らしい手段を用いることにより 管理できます。後者の方法は Debian の異なるディストリビューションを複数の 端末で同時に起動することを可能とします。


3.1.1 ハードウェア互換性の基礎

Linux はほとんどの PC ハードウェアとの互換性を有しており、ほとんどのシステム にインストールできます。私にとって Linux のインストールは Windows 95/98/Me をインストールするのと同じ位簡単です。ハードウェア互換性リストは常に 増大し続けているようです。

ラップトップ PC を持っている場合は、 そのブランドとモデル名によるインストールヒントを Linux on Laptops で 調査できます。

デスクトップ PC ハードウェアのお薦めは "とにかく保守的" ということです。

低速なマシンを持っている場合、ハードディスクを取り外して他の高速なマシンに 取り付けてインストールするのは良いアイデアです。


3.1.2 PC のハードウェアとチップセットを決定する

インストール中、PC のハードウェアやチップセットを聞かれることがあります。 時々それらの情報は見付かりづらいかもしれません。次にハードウェアやチップセット の情報を見付ける方法を挙げます。

  1. PC のケースを開けて中を見る。
  2. ビデオカードやネットワークカードの大きなチップ、 シリアルポートの近くにあるチップ、IDE ポートの近くにあるチップに 付いているプロダクト ID を記録する。
  3. PCI 又は ISA カードの後ろにプリントされているカードの名前を記録する。

3.1.3 Debian から PC のハードウェアを決定する

Linux system 上で次のコマンドを実行すると実際のハードウェアとその設定の ヒントが得られます。

     $ pager /proc/pci
     $ pager /proc/interrupts
     $ pager /proc/ioports
     $ pager /proc/bus/usb/devices

これらのコマンドはインストールの進行中に端末から Alt-F2 を押すことにより 実行可能になります。

最初のイントール後、pciutils, usbutils, や lshw などの追加パッケージをインストールすると、 より広範囲なシステム情報が得られます。

     $ lspci -v |pager
     $ lsusb -v |pager
     # lshw  |pager

典型的な PC は次のように IRQ を使用します。

古い非 PnP ISA カードでは、BIOS から非 PnPな IRQ として IRQ5, IRQ10 および IRQ11 を設定したいかもしれません。

USB デバイスに対しては、デバイスクラスが次のようにリストされます。 /proc/bus/usb/devicesCls=nn として 存在する

デバイスクラスが 255 ではない場合は、Linux はそのデバイスをサポートしています。


3.1.4 他の OS から PC のハードウェアを決定する

ハードウェア情報は他の OS からも取得可能です。

他の商用 Linux ディストリビューションをインストールしてください。これらの ディストリビューションのハードウェア検知機能は現在の Debian の検知機能に比べ 優れています。(この状況は Sarge に debian-installer が導入 されても変わらないでしょう。)

Windows をイントールします。ハードウェアの設定は "My Computer" を 右クリックしてデバイスマネージャ/プロパティを開くことにより取得できます。 IRQ、 I/O ポートアドレス、そして DMA のような全てのリソースが 記録されています。ある古い ISA カードは DOS 上で設定する必要があります。


3.1.5 Lilo の俗説

"Lilo is limited to 1024 cylinders." は間違っている!

Debian potato 以降で使用されている lilo は lba32 をサポート しています。マザーボードの BIOS が lba32 をサポートしているくらい新しいなら、 lilo は古い 1024 シリンダの制限を越えてロードできます。

古い lilo.conf を保持している場合、lilo.conf の 先頭の近くのどこかに "lba32" を読み込む 1 行を確実に追加してください。 /usr/share/doc/lilo/Manual.txt.gz を見てください。


3.1.6 GRUB

GNU Hard プロジェクト由来の新しいブートローダである grub は Debian の Woody system に次のようにインストールできます。

     # apt-get update
     # apt-get install grub-doc
     # mc /usr/share/doc/grub-doc/html/
     ... 内容を読む。
     # apt-get install grub
     # pager /usr/share/doc/grub/README.Debian
     ... これを読む。

GRUB メニュを編集するには、/boot/grub/menu.lst を編集してください。 lilo とはブートパラメータの設定方法がかなり違うので、 ブート中にブートパラメータを設定する方法について GRUB ブートパラメータの設定, 第 8.1.6 節 を 見てください。


3.1.7 ブートフロッピーの選択

Potato では、通常のデスクトップへのインストールには IDEPCI disk set が いいでしょう。 Woody では、 bf2.4 ブートディスクセットが良いです。これらはブートフロッピーを 作成するため、共に boot-floppies 版を使用しています。

PCMCIA ネットワークカードを持っている場合、標準のブートディスクセットを使用して (大量のフロッピーを必要としますが全てのドライバモジュールが含まれています) PCMCIA setup で NIC の設定を行う必要があります。標準のネットワークセットアップ ダイアログで NIC カードの設定を行おうとしないでください。

特殊なシステムでは、カスタムレスキューディスクを作成する必要があります。 これは違うマシンでコンパイルした圧縮カーネルイメージにより Debian レスキューディスク上の "linux" と言う名前のカーネルイメージを上書きして 置き換えることにより行えます。詳細はレスキューディスク内の readme.txt にあります。 レスキューフロッピーは MS-DOS ファイルシステムを使用しているので、 読み込みと編集にあらゆるシステムを使用できます。この特徴により、特別な ネットワークカードなどを使用したい人にとって使い易くなっています。

Sarge では、ブートフロッピーの作成に debian-installer 又は pgi が使われると期待されています。


3.1.8 インストール

http://www.debian.org/releases/stable/installmanual 又は http://www.debian.org/releases/testing/installmanual (作業中で時々なくなります) にある公式な指示に従ってください。

testing ディストリビューションで boot-floppies を用いた システムをインストールしている場合、APT ソースを調整するためにインストール中に Alt-F2 を押して端末を開き、/etc/apt/sources.list エントリを 編集し、"stable" を "testing" に変更する必要があるかもしれません。

私は lilo/dev/hda3 のような場所にインストールし、 mbr の場合は /dev/hda にインストールします。 このようにするとブート情報を上書きする危険性を最小限に抑えることができます。

ここにインストール中私が選ぶ選択肢を挙げます。

dselect に関するより詳しい情報は、dselect, 第 6.2.3 節 をごらんください。


3.1.9 LAN を使用するためのホストと IP

LAN 設定例 (C サブネット: 192.168.1.0/24)

     Internet
        |
        +--- 外部 ISP が POP service を供給 (fetchmail 経由の取得)
        | 
       ISP アクセスポイントが DHCP サービス と SMTP relay サービス を供給
        |                     :
       ケーブルモデム (ダイアルアップ)
        |                     :
     LAN ゲートウェイマシン 外部ポート: eth0 (ISP の DHCP により付与)
      古いノートPCを使用 (IBM Thinkpad, 486 DX2 50MHz, 20MB RAM)
      ext3 ファイルシステムを用いた Linux 2.4 カーネルを使用
      "ipmasq" パッケージを使用 (stronger patch, NAT, さらに firewallを使用)
      "dhcp-client" パッケージを使用し、eth0 に対して設定 (DNS 設定を上書きする)
      "dhcp" パッケージを使用し、eth1 に対して設定
      "exim" を smarthost として使用 (mode 2)
      長時間の間隔で "fetchmail" を使用 (fallback)
      LAN からインターネットへの接続のためのキャッシュサーバおよび LAN から
      LAN ドメインへのアクセスのための信頼できるネームサーバとして
      "bind" を使用。
      port 22 および 8080 にて "ssh" を使用 (どこからでも接続するため)
      (APT からの) Debian archive のため、キャッシュサーバとして "squid" 
      を使用。
      LAN ゲートウェイマシン内部ポート: eth1 (IP = 192.168.1.1 固定)                        |
              +--- LAN スイッチ (100base T) ---+
              |                              |
     LAN 上のいくつかの固定IP クライアント LAN 上のいくつかの DHCP クライアント
     (IP = 192.168.1.2-127 固定)    (IP = 192.168.1.128-200 動的取得)

ネットワークの設定の詳細は ネットワークの設定, 第 10 章 をごらんください。 LAN ゲートウェイサーバの詳細な設定については ゲートウェイルータを構築する, 第 10.14 節 を ごらんください。


3.1.10 ユーザアカウント

複数のマシンを通じて同じ感覚を保つために、最初のいくつかのアカウントはいつも システムを通じて同一にしています。

いつも最初のユーザアカウントを "admin" (uid=1000) のような名前で作成 しています。全ての root へのメールをそこに転送します。このアカウントは adm group ("なぜ GNU suwheel グループを サポートしていないのか", 第 9.2.2 節 参照) のメンバに与えられ、 root 権限を PAM を通じた su 又は sudo コマンド を通じて与えることが可能です。詳細は ユーザアカウントを追加, 第 4.1.3 節 をごらんください。


3.1.11 ファイルシステムを作成


3.1.11.1 ハードディスクのパーティション

システムクラッシュの際の被害を最小限に抑えるため、異なったディレクトリツリー に対して異なったパーティションを使用する方が好みです。例えば次のように パーティションを分割します。

     /          == (/ + /boot + /bin + /sbin)
                == 50MB+
     /tmp       == 100MB+
     /var       == 100MB+
     /home      == 100MB+
     /usr       == 700MB+ with X
     /usr/local == 100MB

/usr/ ディレクトリのサイズは X Window アプリケーションや ドキュメントの量に極めて依存しています。コンソールのみを使用する場合、 /usr/ は 300MB にすることができます。一方、多数の Gnome アプリケーションをインストールした場合、2GB–3GB のサイズを割り当てるのは 異常ではありません。 /usr/ が非常に大きくなってしまった時、/usr/share/ を他のパーティションに移すのは最も効率的な対策です。新しい大規模な パッケージ化された Linux 2.4 カーネルでは、/ は 200MB 以上必要となるかもしれません。

例えば、私の Internet ゲートウェイサーバの現在の状況は次のようになっています。 (df -hコマンドの出力)

     Filesystem            Size  Used Avail Use% Mounted on
     /dev/hda3             300M  106M  179M  38% /
     /dev/hda7             100M   12M   82M  13% /home
     /dev/hda8             596M   53M  513M  10% /var
     /dev/hda6             100M  834k   94M   1% /var/lib/cvs
     /dev/hda9             596M  222M  343M  40% /usr
     /dev/hda10            596M  130M  436M  23% /var/cache/apt/archives
     /dev/hda11            1.5G  204M  1.2G  14% /var/spool/squid

(/var/spool/squid/ に割り当てられている大容量の領域は パッケージのダウンロードの際の proxy キャッシュのためです。)

次は パーティション構造の考えを示すための fdisk -l の出力です。

     # fdisk -l /dev/hda # comment
     
     /dev/hda1             1        41    309928+   6  FAT16 # DOS
     /dev/hda2            42        84    325080   83  Linux # (not used)
     /dev/hda3   *        85       126    317520   83  Linux # Main
     /dev/hda4           127       629   3802680    5  Extended
     /dev/hda5           127       143    128488+  82  Linux swap
     /dev/hda6           144       157    105808+  83  Linux
     /dev/hda7           158       171    105808+  83  Linux
     /dev/hda8           172       253    619888+  83  Linux
     /dev/hda9           254       335    619888+  83  Linux
     /dev/hda10          336       417    619888+  83  Linux
     /dev/hda11          418       629   1602688+  83  Linux

いくつかの未使用のパーティションが存在しています。これらは 2 個目の Linux ディストリビューションのインストールや大きくなったディレクトリツリーのための 拡張スペースのためのものです。


3.1.11.2 ファイルシステムのマウント

上記のファイルシステムを適切にマウントするために、次に示すように /etc/fstab を設定しています。

     
     # /etc/fstab: static filesystem information.
     #
     # filesystem    mount point     type    options                dump pass
     /dev/hda3       /               ext2    defaults,errors=remount-ro 0 1
     /dev/hda5       none            swap    sw                      0 0
     proc            /proc           proc    defaults                0 0
     /dev/fd0        /floppy         auto    defaults,user,noauto    0 0
     /dev/cdrom      /cdrom          iso9660 defaults,ro,user,noauto 0 0
     #
     # パーティションを分割しつづけます
     /dev/hda7       /home           ext2    defaults                0 2
     /dev/hda8       /var            ext2    defaults                0 2
     /dev/hda6       /var/lib/cvs    ext2    defaults                0 2
     # noatime オプション はファイルの読み込みのアクセスを高速化する
     /dev/hda9       /usr            ext2    defaults,noatime        0 2
     /dev/hda10      /var/cache/apt/archives ext2    defaults        0 2
     
     # proxy キャッシュのための非常に大きなパーティション
     /dev/hda11      /var/spool/squid ext2   rw                      0 2
     
     # ブート可能な DOS のバックアップ
     /dev/hda1       /mnt/dos        vfat    rw,noauto               0 0
     # ブート可能な Linux システムのバックアップ (未実施)
     /dev/hda2       /mnt/linux      ext2    rw,noauto               0 0
     #
     # nfs マウント
     mickey:/        /mnt/mickey     nfs     ro,noauto,intr          0 0
     goofy:/         /mnt/goofy      nfs     ro,noauto,intr          0 0
     # minnie:/ /mnt/minnie smbfs ro,soft,intr,credentials={filename} 0 2

NFS の場合、 noauto,intr オプションをデフォルトのhard オプションと組み合わせて使用します。このようにすると、Ctrl-C を用いた dead-connection によるプロセスのハングから回復することが可能です。

Samba (smbfs) により接続した Windows マシンに対しては、 rw,auto,soft,intrオプションを使用するのは良い考えです。 Samba の設定, 第 3.5 節 をごらんください。

フロッピードライブに対しては、noauto,rw,sync,user,exec を 通常のオプションの代わりに用いて unmount する前に誤って ディスクをイジェクト してしまった後のファイル破壊を防ぐことができます。


3.1.11.3 Autofs マウント

auto mount する際の注意点は次の通り。


3.1.11.4 NFS マウント

ファイアーウォール (ゲートウェイ) の後ろに (まぬけにも) 外部の Linux NFS サーバが存在します。私しかユーザが居ないので、 非常に緩やかなセキュリティポリシーを LAN 内では適用しています。 NFS アクセスを可能とするには、NFS サーバ側で /etc/exports に対して次のように追加する必要があります。

     # /etc/exports: the access control list for filesystems which may be
     #               exported to NFS clients.  See exports(5).
     /       (rw,no_root_squash)

これは NFS サーバパッケージおよびクライアントパッケージをインストールして 有効にすることに加え、 NFS サーバを有効にするためにも必要です。

単純化のため、通常実験又は 2個目の不精な Linux インストールのための 2GB の 単独のパーティションを作成します。これらのインストールのために swap や /tmp の共有を任意で行います。複数パーティションとすると、 これらの手段が使用できなくなるほど複雑になってしまいます。単独の端末システム のみを必要とする場合、500MB もあれば十分です。


3.1.12 DRAM メモリ量のガイドライン

次に DRAM 搭載量の大まかなガイドラインを示します。

       4MB:  Linux kernel が動く最小量
      16MB:  適切なコンソールのみのシステムに最低限必要な量
      32MB:  シンプルな X Window system に最低限必要な量
      64MB:  GNOME/KDE を用いた X Window system を動かすのに最低限必要な量
     128MB:  GNOME/KDE を用いた X Window system が快適な量
     256MB(以上): なぜ買えないの? DRAM は安いよ。

mem=4m ブートオプションを用いる (又は lilo で append="mem=4m" とする) とシステムにメモリが 4MB しか無い場合の振舞がどのようなものかを 示します。BIOSが古く、64MB 以上のメモリを搭載しているシステムには 特別な lilo ブートパラメータが必要です。


3.1.13 スワップ

スワップに対しては次のようなガイドラインを使用します。

スワップを必要としない場合でも、メモリリークを起こすプログラムによりクラッシュ する前にシステムが低速化するので、いくらかのスワップ (128 MB) を用意するのが 望ましいです。


3.2 Bash 設定

システム全体に渡って自分の好みに合うようにシェルの起動スクリプトを変更します。

     /etc/bash.bashrc        個人独自のコピーで置き換える
     /etc/profile            distribution のコピーを保つ ( \w -> \W)
     /etc/skel/.bashrc       個人独自のコピーで置き換える
     /etc/skel/.profile      個人独自のコピーで置き換える
     /etc/skel/.bash_profile 個人独自のコピーで置き換える
     ~/.bashrc               全てのアカウントについて個人独自のコピーで置き換える
     ~/.profile              全てのアカウントについて個人独自のコピーで置き換える
     ~/.bash_profile         全てのアカウントについて個人独自のコピーで置き換える

詳細は私のサンプルスクリプトをご覧下さい。 私は透過的なシステムが好きなので、umask を 002 又は 022 にセットします。

PATH は次に挙げる順で設定ファイルによりセットされます。

     /etc/login.defs  - シェルが PATH をセットする前
     /etc/profile     (may /etc/bash.bashrc を呼んでいるかもしれません)
     ~/.bash_profile  (~/.bashrc を呼んでいるかもしれません)

3.3 マウスの設定


3.3.1 PS/2 マウス

ATX マザーボードの PS/2 コネクタにつなげるマウスの場合、信号の流れは 次のようになります。

     mouse -> /dev/psaux -> gpm -> /dev/gpmdata = /dev/mouse -> X

ここで、/dev/psauxというシンボリックリンクが作成され、 /dev/gpmdata を指すことにより、いくつかの設定ユーティリティ がマウスを使い易くし、再設定を容易にすることができます。 (例えば、結局 gpm デーモンを使わないことにした場合、 gpm デーモンを削除した後に /dev/mouse という シンボリックリンクは単に /dev/psaux を指すことになります。)

この信号の流れにより、再接続時に gpm を再起動することにより キーボードやマウスが外され、再び接続することができるようになります。 X は動いたままです!

gpm の出力と X への入力の間の信号プロトコルは "ms3" (Microsoft 3ボタンシリアルマウスプロトコル) 又は "raw" (同じプロトコルを接続された マウスとして使用する) のどちらでも実装できます。そしてこのプロトコルの選択 が X の設定で使用されるプロトコルの選択を規定します。

Logistech 3ボタン (伝統的な Unix スタイルのマウス) PS/2 マウスを 例として使用して次にマウスの設定の例を挙げます。

新しい X Version 4 でサポートされていないビデオカード (いくつかの ATI 64ビットカード) を使っており、古い X Version 3 を使う必要 があるなら、X Version 3 パッケージをインストールして次に示すように /etc/X11/XF86Config-4 の代わりに /etc/X11/XF86Config を設定してください。


3.3.1.1 The ms3 プロトコルを用いる方法

     /etc/gpm.conf            | /etc/X11/X86Config-4
     =========================+======================================
     device=/dev/psaux        | Section "InputDevice"
     responsiveness=          |  Identifier "Configured Mouse"
     repeat_type=ms3          |  Driver     "mouse"
     type=autops2             |  Option     "CorePointer"
     append=""                |  Option     "Device"   "/dev/mouse"
     sample_rate=             |  Option     "Protocol" "IntelliMouse"
                              | EndSection

この手法を用いると、マウス形式の調整は gpm.confの 編集のみ行えばよく、X の設定はそのままでかまいません。 my example scripts をごらんください。


3.3.1.2 raw プロトコルを用いる方法

     /etc/gpm.conf            | /etc/X11/X86Config-4
     =========================+======================================
     device=/dev/psaux        | Section "InputDevice"
     responsiveness=          |  Identifier "Configured Mouse"
     repeat_type=raw          |  Driver     "mouse"
     type=autops2             |  Option     "CorePointer"
     append=""                |  Option     "Device"   "/dev/mouse"
     sample_rate=             |  Option     "Protocol" "MouseManPlusPS/2"
                              | EndSection

本手法を用いると、マウス形式の調整は gpm.conf を編集する のに加えて、Xの設定も調整する必要があります。


3.3.1.3 異なるマウスを調整する方法

gpm における autops2 デバイスタイプは 市場に出回っているほとんどの PS/2 マウスを自動検知するはずです。不幸にも これはいつも動くとは限らず、Woody 以前には使えませんでした。そのような 場合には autops2 の代わりとして /etc/gpm.confps2 又は imps2 を使用してください。 gpm が認識できる特別なタイプのマウスを調べるには、 gpm -t help を実行してください。gpm(8) をごらんください。

2 ボタン PS/2 マウスを使用している場合、X プロトコルが Emulate3Buttons を有効化するように設定してください。中央のボタンを 1 度押すと 2ボタンマウスと 3 ボタンマウスの間のプロトコルの違いが自動検知され、gpm 用に 自動調整されます。

X プロトコルで raw プロトコルを用いる方法, 第 3.3.1.2 節 を用いる、又は gpm を 用いない場合、次のマウス形式を使用してください。

詳細は Mouse Support in XFree86 を ごらんください。

典型的な Microsoft スクロールマウスの場合、次の設定によりもっとうまく動くと 報告されています。

     /etc/gpm.conf            | /etc/X11/X86Config-4
     =========================+======================================
     device=/dev/psaux        | Section "InputDevice"
     responsiveness=          |  Identifier "Configured Mouse"
     repeat_type=raw          |  Driver     "mouse"
     type=autops2             |  Option     "CorePointer"
     append=""                |  Option     "Device"   "/dev/mouse"
     sample_rate=             |  Option     "Protocol" "IMPS/2"
                              |  Option     "Buttons" "5"
                              |  Option  "ZAxisMapping" "4 5"
                              | EndSection

最近の薄型の東芝ノートPC では、gpmを PCMCIA よりも先に 起動するとシステムのデッドロックを防ぐことができるようです。不気味ですが 本当です。


3.3.2 USB マウス

必要な全ての kernel 機能をカーネルコンパイル時の設定やモジュールを 通して有効にしたかどうかを確認してください。

ここで、小文字の名前はモジュール名です。

devfs を使用していない場合、 /dev/input/mice デバイスノードを major デバイス番号 13 、 minor デバイス番号 63 を用いて次のように 作成してください。

     # cd /dev
     # mkdir input
     # mknod input/mice c 13 63

典型的なスクロール USB マウスの場合、 次のような 2 種類の設定を組み合わせる必要があります。

     /etc/gpm.conf            | /etc/X11/X86Config-4
     =========================+======================================
     device=/dev/input/mice   | Section "InputDevice"
     responsiveness=          |  Identifier "Generic Mouse"
     repeat_type=raw          |  Driver     "mouse"
     type=autops2             |  Option     "SendCoreEvents" "true"
     append=""                |  Option     "Device"   "/dev/input/mice"
     sample_rate=             |  Option     "Protocol" "IMPS/2"
                              |  Option     "Buttons" "5"
                              |  Option  "ZAxisMapping" "4 5"
                              | EndSection

詳細は the Linux USB Project をごらんください。


3.3.3 タッチパッド

ノート PC にあるタッチパッドは 2 ボタン PS/2 マウスをデフォルトの動作 としてエミュレートしますが、tpconfig パッケージ によりタッチパッドのフル機能を有効化できます。例えば、 /etc/default/tpconfig にて OPTIONS="--tapmode=0" と設定すると、くどい "click by tap" 機能を無効にできます。 コンソール上でタッチパッドと USB マウスを同時に使用するには /etc/gpm.conf を次のように設定してください。

     device=/dev/psaux
     responsiveness=
     repeat_type=ms3
     type=autops2
     append="-M -m /dev/input/mice -t autops2"
     sample_rate=

3.4 NFS 設定

/etc/exports を調整することにより NFS の設定を行えます。

     # apt-get install nfs-kernel-server
     # echo "/ *.LAN上のホストノドメイン名(rw,no_root_squash,nohide)" \
             >> /etc/exports

詳細は私のサンプルスクリプトをごらんください


3.5 Samba の設定

リファレンスをいくつか示します。

WfW-type の共有ドライブを作成するので、 Samba を "share" モードに 設定するのはより容易です。しかし、私は "user" モードで設定する方が好きです。

Samba は debconf 又は vi を通じて設定可能です。

     # dpkg-reconfigure --priority=low samba # Woody にて
     # vi /etc/samba/smb.conf

詳細は私のサンプルスクリプトをごらんください

smbpasswd への新規ユーザの追加は、 smbpasswdを 次のように用いることにより可能です。

     $ su -c "smbpasswd -a username"

最適な互換性を保つため、暗号化パスワードを確実に使用してください。

次に示すシステム等価係数 (大きくなるほど、サーバとしての優先度が高い) に従い、os level を設定してください。

     0:      緩い考えの Samba (マスタブラウザには決してならない)
     1:      WfW 3.1, Win95, Win98, Win/Me?
     16:     Win NT WS 3.51
     17:     Win NT WS 4.0
     32:     Win NT SVR 3.51
     33:     Win NT SVR 4.0
     255:    パワフルな Samba

ユーザは共有アクセスを与えるディレクトリを所有するグループに属しており、 ディレクトリパスにはアクセスするための実行権があることを確認してください。


3.6 プリンタの設定

プリンタを設定するための伝統的な方法は lpr 又は lpd です。今は新しい CUPS™ システム (Common UNIX Printing System) が 存在します。PDQ はもう一つのアプローチです。詳細は Linux Printing Howto をごらんください。


3.6.1 lpr又はlpd

ポストスクリプトプリンタ又はテキストのみのプリンタを接続しているならば、 lpr 又は lpd タイプのスプールのために /etc/printcap を次のように設定してください。

     lp|alias:\
             :sd=/var/spool/lpd/lp:\
             :mx#0:\
             :sh:\
             :lp=/dev/lp0:

上記の行はそれぞれ次のような意味があります:

本設定はポストスクリプトプリンタを接続している場合、良い設定です。又、 Samba を通じて Windows マシンに接続したプリンタから印刷する場合の Windows をサポートした (双方向通信がサポートされない) プリンタ にとっても良い設定です。Windows マシン上で対応するプリンタの設定を選択 する必要があります。

ポストスクリプトプリンタを所有していない場合、gs により フィルタシステムの設定を行う必要があります。 /etc/printcap の設定のために供給される数多くの自動設定 ツールが存在します。 これらを自由に組み合わせることが可能です。

printtool のような GUI 設定ツールを起動するために root 権限 を取得するには X で root 権限を取得する, 第 9.4.12 節 を見てください。printtool により作成されたプリンタスプールは gs を使用し、ポストスクリプト プリンタのように振る舞います。それゆえ、これらのプリンタにアクセスした時、 ポストスクリプトプリンタのドライバを使用します。Windows 側では、この プリンタを用いるには "Apple LaserWriter" が標準的なドライバです。


3.6.2 CUPS™

The Common UNIX Printing System (又は CUPS™) は aptitude を使い "Tasks" -> "Servers" -> "Print Server" の下の全てのパッケージをインストールすることで導入できます。 (Sarge) 最善の結果のためには aptitude を "F10" -> "Options" -> "Dependency handling" -> "[X] Install Recommended packages automatically". と設定するべきです。

KDE や Gnome デスクトップ環境では簡単にプリンターの設定ができます。 この他に swat が導入されている場合は web ブラウザを用いてシステムの設定を行えます。

     $ 好みのブラウザコマンド http://localhost:631

例えば、アクセス可能なプリンタのリストにプリンタを追加するには、 次を実行します。

詳細は http://localhost:631/documentation.html 及び http://www.cups.org/cups-help.html をご覧ください。

2.4 kernel の場合は、パラレルポートのサポート, 第 7.2.6 節 もごらんください。


3.7 他のホストへのインストールのヒント


3.7.1 最初のインストール後にさらにいくつかパッケージを インストールする

いったんここまで来たら、小さいけれどもちゃんと機能する Debian システムを 持っていることになります。もっと大きいパッケージをインストールしても良い 時間です。

私はより簡単にシャットダウンを行うため、通常 /etc/inittab を 次のように編集します。

     ...
     # CTRL-ALT-DEL が押された時に実行
     ca:12345:ctrlaltdel:/sbin/shutdown -t1 -a -h now
     ...

3.7.2 モジュール

デバイスドライバ用のモジュールは最初のインストール中に設定されます。 modconf はメニュ指向なモジュール設定を後に供給します。 このプログラムは最小のインストール中にいくつかのモジュールを除外されたり、 最初のインストール後に新しいカーネルをインストールした場合に非常に有用です。

全てのプリロードされたモジュール名は /etc/modules にあるリストに追加される必要があります。モジュールの制御を手動で行うために lsmoddepmod も使用します。

又、2.4 系 kernel の場合に IP masquerading (FTP など) を制御するには、 /etc/modules に新しい行を確実に追加してください。 モジュール化された 2.4 kernel, 第 7.2 節, 特に Network 機能, 第 7.2.3 節 を見てください。


3.7.3 CD-RW の基本的な設定

IDE で接続された CD-RW ドライブが 2.4 カーネルとともに使われる場合には、 次に示すファイルを編集してください。

     /etc/lilo.conf  (append="hdc=ide-scsi ignore=hdc" を追加し、 
                      設定を有効にするために lilo を実行する)
     /dev/cdrom      (シンボリックリンク # cd /dev; ln -sf scd0 cdrom)
     /etc/modules    ("ide-scsi" および "sg" を追加する。"sr" が必要なら
                     その後に追加する。)

詳細は CD ライター, 第 9.3 節 をごらんください。


3.7.4 大容量メモリおよび自動電源 OFF

大規模メモリ (2.2 kernel 用)と自動電源 OFF (APM 用) のためのブートプロンプト パラメータを設定するため、 /etc/lilo.conf を次のように編集 してください。

     append="mem=128M apm=on apm=power-off noapic"

これらの設定をインストールするには lilo を実行してください。 SMP カーネルには apm=power-off の設定が必要であり、buggy な SMP ハードウェアの問題を回避するには noapic と設定する必要 があります。同じことはブートプロンプトでオプションを入力することによっても 可能です。ブートプロンプトを使った他のブートトリック, 第 8.1.5 節 をごらんください。

APM がモジュールとしてコンパイルされている場合、Debian のデフォルトの version 2.4 カーネルでは、insmod apm power-off=1 とブート後に 実行するか、/etc/modules に次のように設定してください。

     # echo "apm power_off=1" >>/etc/modules

又は、ACPI のサポートを組み込んでコンパイルすることにより、より新しい kernel を用いて同じ目標を達成出来ますし、より SMP フレンドリーにもなるようです (これには新しいマザーボードが必要です)。 新しいマザーボード上で 2.4 kernel を次の設定で動かすと大容量メモリを正確に認識できます。

     CONFIG_PM=y
     CONFIG_ACPI=y
     ...
     CONFIG_ACPI_BUSMGR=m
     CONFIG_ACPI_SYS=m

そして、次の 2 行をこの順番で /etc/modules に追加してください。

     ospm_busmgr
     ospm_system

又は、上記に示したオプションを "y" にセットして kernel を再構築してください。 どの場合でも、ACPI を用いた場合にはブートプロンプトパラメタは必要ありません。


3.7.5 いくつかのウェブサイトにアクセスした時の奇妙な挙動

最近の Linux kernel は通常 ECN を有効化でき、これが腐ったルータ上にある いくつかのウェブサイトにアクセスした際に問題を引き起こします。ECN の 状況を確認するには。次を実行します。

     # cat /proc/sys/net/ipv4/tcp_ecn
      ... 又は
     # sysctl net.ipv4.tcp_ecn
     を実行してください。

ECN を無効化するには、次のコマンドを実行してください。

     # echo "0" > /proc/sys/net/ipv4/tcp_ecn
      ... 又は
     # sysctl -w net.ipv4.tcp_ecn=0

ブート時に TCP ECN を無効化するには、/etc/sysctl.conf を 次のように編集してください。

     net.ipv4.tcp_ecn = 0

3.7.6 ダイアルアップ PPP 接続の設定

pppconfig パッケージをインストールすることにより ダイアルアップ PPP 接続の設定ができます。

     # apt-get install pppconfig
     # pppconfig
      ... ダイアルアップ PPP のための指示に従う
     # adduser user_name dip
      ... user_name のダイアルアップ PPP へのアクセスを許可

ユーザ (user_name) によりダイアルアップ PPP を次のように 起動できます。

     $ pon ISP_name  # プロバイダへの PPP 接続を開始。
      ... Internet を愉しむ
     $ poff ISP_name # PPP 接続を切断。 ISP_name は任意。

詳細は PPP インターフェースの設定, 第 10.2.4 節 をごらんください。


3.7.7 /etc/ 下のファイルを微調整するための他の設定ファイル

標準的な Debian のインストールでは欠けている /etc/cron.deny ファイルを追加したいかもしれません。(/etc/at.deny をコピー 可能です。)


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Debian リファレンス

CVS, 2005年 4月 3日 月曜日 22時59分00秒 UTC時間

Osamu Aoki (青木 修) osamu@debian.org
翻訳: 角田 慎一 tsuno@ngy.1st.ne.jp
著者, 第 A.1 節